■エンターテイメント性のファンクション達成度評価は?

 感情の揺れ動き具合を評価するのは難しい。先のシンデレラで心の揺れ動きを快と不快にファンクションを達成したようなグラフがあるが、それはあくまでも感覚的な指標であり根拠のないものである。では、シンデレラを読んだり、映画として見た後に「面白かった」というアンケートをとり、評価できるかというとそれも疑問のあるファンクション達成度である。

 エンターテイメントは結果ではなく、プロセスが重要である。最終的に「面白かった」という結果はリアルタイムの心の揺れ動きの評価ではなく、終了時に記憶として残った感想レベルの評価である。「面白さ」という最終ファンクション要求は当然あるであろうが、エンターテイメントはプロセスにおける感情の揺れ動きを使用者は期待するものである。例えば絵画や写真のようなモノ的エンターテイメントはそれでもよいが、レジャーやゲームなどプロセスに価値があるものはプロセスごとに評価されるべきである。

 それではプロセスにおける感情の動きを測定できるか?シンデレラのいじめによる不快や、王子とダンスした時の快の度合いをどうやって測定するか?確かに心拍数や脳波、脳内物質の分泌量など科学的に解明することも可能であろうが、その技術は未だ一般的ではないう上に、その精度が個体差のある感情の度合いを本当に測定できているのであろうか?

 F=Cと定義した場合、投げ銭方式であれば評価ができる。先のコスト評価を投げ銭方式で測定可能であるように、ファンクション達成度を使用者の投げ銭というコストで、使用者が評価しているのであれば評価・測定が可能である。例えば路上ミュージシャンがサックスをプレイしている時、観客はいい旋律、いいプレイに感動した時にコインを投げる。それも決まった額はなく、観客の感動度合い、つまり感情の揺れ動き度合いに合ったコインを投げる。エスティーム・ファンクションの達成度をコストで示していることになる。

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